医療法人の定期事務

 医療法人は、決算月とその翌々月に社員総会を開催することが、定款に書かれていると思います。たとえば、3月決算の医療法人であれば、3月と5月に総会を開催します。
 そして、決算月から3ヶ月以内に事業報告(決算届)を都道府県に提出しなければなりません。

 事業報告は、毎年必要となります。また、法務局へも【資産の総額の変更】と、(原則)2年ごとに【役員改選】の手続が必要となります。

 このとき重任(再任)ももちろん可能ですが、新たに就任する場合は自治体へ【役員変更届】を提出しなければなりません。役員の改選等の手続時には、地方自治体(医療法人係や医療整備課等)・法務局・保健所・厚生局など、いくつかの行政機関へ手続が必要なケースもありますので、しっかり確認しましょう。
医療法人の役員」もご参照ください。

Q
事業報告を怠るとどうなる?

A

医療法人係から、事業報告を行うよう指導書類が送られてきます。
事業報告は、医療法人が運営されていることを証明するものでもあります。医療法人の運営が1年以上されていないことは、認可取消の要件ともなっています。
従って、指導にもかかわらず事業報告を放置していると、最悪の場合、認可取消などの処分もありえます。

Q
資産の総額の変更、役員改選の登記を怠るとどうなる?

A

定款の変更などをしようと認可申請を行うと、怠っていた手続を行うよう指導がなされ、その間、変更手続がストップしてしまいます。
資産総額の変更登記は、毎年行わなければならないものです。しかも法務局の手続上、直近数年だけ行うというようなことはできず、行うのであれば設立時まで遡らなければなりません。ご注意ください。

医療法人の社員総会

 医療法人にとって、最高意思決定機関は社員総会です。
 文字どおり、社員が構成員であり、株式会社でいうところの株主に相当する立場ですが、株式会社とは異なり、出資(拠出)額にかかわらずひとり1票の議決権しか行使できません。
 社団である以上、社員は2名以上必要ですが、3名以上にしてほしいと指導されることが多いようです。必ずしも従う必要はありませんが。

 通常、定時総会が年に2回予定されています。決算月とその翌々月です。ほかに、必要に応じて臨時社員総会を開催することもできます。
 社員総会では、法人にとって重要なことが議案となります。社員はもちろん、理事・監事など役員の選任も社員総会で行います。ここでの決定に基づいて、各理事は業務を執行することになります。

Q
社員とは?

A

医療法人の社員とは、社員総会(社団医療法人の最高意思決定機関)において、法人運営の重要事項についての議決権および選挙権を行使する者であり、実際に法人の意思決定に参加できる者をいいます。
従って、自然人でなければなりません。

ときどき、役員と社員を混同している医療法人を見かけますが、社員と役員は異なります。また、いわゆる従業員とも異なります。

社員は、原則として出資者を指し、株式会社でいうところの株主と考えてください。
ただし、ご承知のとおり、配当を受け取ることはできません。
また、一人医師医療法人で多く見られますが、出資(拠出)していない社員もいます(一方、出資のみの自然人・法人もあり)。

社員を確定するためには、本来は【社員名簿】を確認することになります。
社員名簿がない場合、設立総会で選任され、その後の入退社、除名を追跡しなければなりません。社員総会の議事録を確認しましょう。
医療法人運営管理指導要綱でも、社員名簿を備えるように指導されています。なければ、すぐに作成することをお勧めします。

Q
なぜ定時社員総会が、年に2回あるのか。

A

義務ではありませんが、モデル定款を採用する場合、定時総会が年に2回あります。
1回目は決算月、2回目はそこから2ヶ月後に設定されているのが通常です。
第1回目の総会では、翌年度の事業計画や予算などを話し合うことが想定されています。そして、第2回目の総会では前年度の決算や剰余(損失)金の処理、2年ごとに役員の改選をします。社員総会は医療法人の最高意思決定機関であり、定款に沿った運営が必要です。

なお、定時社員総会を年1回と規定する場合、定款において社員総会で決議すべき事項としているもののうち、毎事業年度の事業計画の決定および変更の条項を削除しなければなりません

医療法人の理事会

 社員総会での議決に従って、実際の業務を執行するのは理事の役目です。その理事による会議体が理事会です。
 定期的な開催は義務づけられておらず、必要があれば開催します。ですがやはり、定期的に開催することが望ましいことは言うまでもありません。特に、社員総会が行われたあとには、それを受けて理事会を開催する必要があることも多いはずです。

Q
監事は、理事会に出席する必要がありますか?

A

監事の理事会への出席は、定款に別段の記載がある場合を除き、義務ではありません。
しかし、監査報告書の記載例によれば、理事会への出席は監査方法のひとつとして例示されています。理事へのチェック機関という観点からも、理事会へ出席することが望ましいと考えられます。